顎の発育異常により顔面形態の異常や機能障害を伴うものを顎変形症といいます。

 

生まれつきのもの(先天性)と、生後に生じたもの(後天性)とがあります。 

 

口唇口蓋裂患者では、口蓋裂手術の影響もあり矯正治療だけでは十分な回復が得られず顎変型症治療が必要になる場合があります。このような場合には矯正専門医と口腔外科医の両方で顎変形症と診断し、患者様に適応していく治療です。
診断は、咬合状態、顔貌、エックス線写真(
CTMRIを含む)等の検査結果に基づいて行います。

手術は全身麻酔下で行いますので、全身麻酔を実施するうえで問題がないか、血液検査、心電図、胸部レントゲン等でチェックし、必要に応じて内科等の専門診療科へコンサルテーションします。そして、手術の合併症やリスク等を勘案して外科的矯正治療の適否を総合的に判断し、この点を説明し、ご理解を得た後に、治療を開始します。

 

術前矯正

  矯正歯科にて術後に安定した噛み合わせを得るために歯を並びかえます。平均1年半から2年を要します。術前矯正が終了すると、手術日を決めて準備をします。

 

手術の準備、入院、手術

  術前矯正終了のめどが立った段階で、矯正歯科の先生より連絡をもらい、入院手術日を検討します。入院1ヵ月前までには全身麻酔のための術前検査一式(胸部レントゲン、心電図、顎顔面CTMRI)をおこない、術式の概要、手術リスクを説明します。
手術日が決定すれば、必要に応じて自己血輸血のために採血を行います。血液準備量は体重、血液検査(
Hb値)、術式より算出します。

 

術後矯正

  術後はおよそ6ヵ月から1年程度の矯正ゴムによるリハビリをおこないながら、術後の歯並びの調整をおこないます。手術にチタン製プレートを使用した場合には、6ヵ月から1年経過した時点でプレート除去術をおこないます。
矯正治療終了後はワイヤーを除去し、マウスピースなどで後戻りがないように保定をおこないます。

 

治療費

 顎変形症手術が必要な顎変形症と診断された場合、入院・手術の費用はすべて
保険適応となります。口唇口蓋裂患者ではもとより矯正治療に保険が適応されていますので問題ありません。